一般にデザインといえば、ニューヨークやパリ、ロンドン、東京、横浜、お洒落な都市を連想する。広島とデザインは残念だが結びつかない。破壊と復興から何を見るのか。たぶんデザインは、ファッショナブルで産業を活性化し、最新の情報を運ぶ力のことだろう。20世紀、世界は、世界経済はそれで大きくなった。一方、そんな流行や新しさを追うばかりがデザインの役割とは思えない。その街にしかないもの、その街の歴史や風土、そこに住む人々の気風を素直に表し、永く人々に愛されるものをつくり上げることが大切なのではないか。23年間のデザイン活動を通して、広島だからこそ考え続けたいデザインの心について、お話したい。
山田晃三/やまだこうぞう 1954年愛知県生まれ。愛知県立芸術大学卒。79年GKインダストリアルデザイン研究所(現GKデザイン機構)入所。92年GKとMAZDAとの合弁によるデザイン総研広島に移籍。06年GKデザイン総研広島代表取締役。12年、GKグループ本社・株式会社GKデザイン機構代表取締役。日本インダストリアルデザイナー協会理事。日本サインデザイン協会常任理事。道具学会会員。日本グッドデザイン賞(Gマーク)審査委員。渓流疑似餌釣りをこよなく愛す二女の父。
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